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日本での働き方改革の違和感

先日、元Google人材開発担当のピョートル・フェリークス・グジバチ氏のお話を聞く機会がありました。
そこでのお話が刺激的で深く考えさせるものだったので、簡単にご紹介します。

 

ピョートル氏はGoogleなどのトップ企業で要職を歴任し、現在は独立して新たな事業を行っている方です。
まず彼について驚いたのは、20か国語を話せるということ。幼少期から多用性に富んだ環境で育ったために、違う言語・文化をすんなり受け入れることができたのではないかとおっしゃっていました。

 

彼が話していたのは、主に日本企業の組織や働き方についてです。
日本は個の能力は高いがそれを生かす組織マネジメントの力が弱いということでした。
確かにこれはその通りで、生き残っていく企業というのは組織マネジメント力の重要性をしっかり認識しているところが多いと感じます。これは企業の規模に関係なく言えることだと思います。

 

働き方については、「Googleに残業しない社員はいない」との言葉が衝撃的でした。
日本は今働き方改革を進めて残業をなくそうとしています。
それなのに、手本にしようといている海外のトップ企業の現状が全く逆であるということです。(彼我の差はますます広がるばかりですね…)

 

もちろんGoogleの社員は高いモチベーションを維持して高い生産性を発揮していますが、長時間労働を是正しようという話は聞きません。
おそらく会社に縛られているという感覚もないでしょう。
この差が生まれる要因は色々あると思いますが、仕事に対する意識の差が大きな要因の一つだと思います。
おそらく彼らは仕事とそれ以外の時間は不可分なものだと考え、両者は密接に相互に関係し合うものだとしっかり認識しているのでしょう。
ですから時間という単位で仕事を区切ることなく、自分のスタイルで高いパフォーマンスを発揮できる働き方を実践できているのだと思います。(オフィスやそこで働く人の姿を見れば頷けるはずです)

 

この差を生む根本原因はそれぞれの社会に浸透している通念だと思うので、日本でも充実度の高い働き方を実現することは可能だと思います。

ただ、ワークライフバランスを表面的に受け取り、そもそもの目的を見失っているように思える昨今の状況を見ると、日本企業が世界で勝つのは、まだまだ厳しいのかなと思ってしまいます。

 

日本の社会は働き方改革を残業削減という狭い視野で考えるのではなく、長い人生の中で労働をどう位置付けるか、もっと根源的な議論をしていくべきではないかとピョートル氏のお話を聞いて思いました。